大分川塩水くさび

更新日 2010-08-11 | 作成日 2007-12-04

大分川への海水の進入

佐藤加奈・西垣肇

河口域の特徴

河口近くの河川と海洋では,海水(塩水)と河川水(淡水)が混在・混合しています。このような水域を「河口域」といいます。河口に近い河川下流域では,基本的には下層から海水が進入します(図1)。海水・河川水の分布パターンは,川によって異なります。

section図1:河川下流域における海水の進入。

目的と調査場所

大分川河口域で海水・河川水の分布パターンがどのようになっているのかを調べるため,この調査を行っています。主に次の2ヶ所で調査を行っています。1つ目は最も下流に位置する弁天大橋で,2つ目は少し上流側の滝尾橋です(図2)。これらの地点では,海洋潮汐に伴う水位の昇降が見られます(図3,4)。

map図2:調査地点。
water level #1図3:弁天大橋における干潮時(左)と満潮時(右)の水位。 西大分港の干潮は 11/2 14:24,満潮は11/3 09:28(いずれも予報値)。水位差はおよそ1.4m
water level #3図4:滝尾橋における干潮時(左)と満潮時(右)の水位。水位差はおよそ0.6m

調査方法

CTD sensor図5:CTDのセンサ部分。大分川河口域での干満による水深や水温,塩分の変化を調べるために,採水器やCTDを使って調査を行っています(図5,6)。CTDは,水の電気伝導度(塩分),水温,圧力(深さ)を測る機器です。

observation図6:CTDを用いた観測。センサを水中に沈めて深さごとの塩分・水温を測定します。

結果

弁天大橋における塩分と水温の分布を図7に示します。2006年6月28日(J) ,7月25日(S),12月22日(D),2007年3月22日(M)の結果です。6月,9月,3月には表層に低塩水や淡水が下層に高塩水(海水と同じくらいの塩分です)が,その中間には躍層(塩分の勾配が大きい層)が,それぞれみられます。滝尾橋での観測結果を併せて検討すると,これらの季節には塩水くさび型の分布であるとわかります。塩水くさび型とは,下層の高塩水が川底に沿って上流に伸びている分布のことを言います。12月には表層から下層まで高塩水がみられます。
水温は,表層と下層の差が小さいですが,6月と9月には表層が少し低温です。河川水よりも海水のほうが温度が高いことがわかります。
12月には海水と河川水の鉛直混合が強いことがうかがわれます。その理由として,河川流量がこの時期に比較的少ないことがあげられます。

benten-ts-seasonal.png図7:弁天大橋における塩分(左)と水温(右)の鉛直分布

2006年作成,2010年8月最終更新