生命誕生までの化学進化の時代

フラスコの中の原始地球

生命は海から生まれる

誕生につづく生物進化の時代



フラスコの中の原始地球 〜ユーレー・ミラーの実験〜

生命誕生において、第一のハードルは、原始地球である。 今から約45億年前、生まれたばかりの地球がどのような様子だったのかは、 今なお確かなことは分かっていません。

原始的な生物が30億年前に発生したことは分かっています。それでは、45 億年前〜30億年前の間の原始地球はどのようなことがあっていたのでしょうか? 1953年アメリカ、シカゴ大学のユーレー博士(Dr H.C.Urey)は、 そこの大学院生であったミラー(S.L.Miller)と一緒に原始地球の模型を作り、 どんな化学反応が起こるのかを調べました。 (Go to "Starting Life in the Laboratory")

地球が誕生したばかりの時、地球は冷たくて金属鉄のようなものが地球の中心部 に落ちずに、表面にあったから、地球の表面はとても還元的な雰囲気であったに 違いない。

と、ユーレーは考えました。

ユーレー博士が考えているような大気のなかでは一体どのようなこと が起きるのだろう?
こんな実験装置だったら、わかるかな〜?

で、考えたのがこの実験装置です。

ユーレー・ミラーの実験装置

この実験装置の説明をしていきましょう。

原始大気
上のフラスコは『原始大気』をあらわしている。 メタン、アンモニア、そして水素の混合ガスを入れ、水蒸気を循環させる。 その中では、電気を放電させる。つまり、『雷』となる。 この雷により、化学反応が起こり、化合物が生じる。

原始の海
下のフラスコには水を入れており、これは『原始の海』をあらわしている。 水は温められているので、水蒸気が下のフラスコからガラス管をつたって、『原始 大気』へと達するようになっている。ちょうど、海の水が蒸発するように。

原始の雨
『原始大気』へと上昇してきた水蒸気は、上のフラスコ内の化合物を溶かし込み、 その下の冷却管で冷やされ、水滴となり、下のフラスコへと落ちる。 すなわち、『雨』となって海へまたもどってくるのである。

実験過程
上のフラスコの中で放電を続け、約1週間待ったところ、このフラスコの中や水の 色がしだいに『茶褐色』に変化。

実験結果
『茶褐色の液体』を調べてみると

グリシン・アラニンなどいろいろなアミノ酸
複雑な有機物など
がたまっているのが認められた。

『アミノ酸』が生命の発生にどのように影響しているかというと、 生物はすべて細胞から構成されています。その組成は、水分が約85%、 次いで、タンパク質と核酸で占められています。 細胞にはいろんな種類のタンパク質が含まれており、それらは全て、たった 20個のアミノ酸 がいくつもつながって構成されています。 しかも、その20種類というのはどの動物や植物にも共通しているのです。

このようにして、

ということが示されたのでした。

実験後の動き
ミラーの実験の後、いろんな人達がフラスコの大気の組成を変えて同じような 実験を行いました。 たとえば、二酸化炭素や窒素、水蒸気といった組成の大気でやってみても、 同じように様々なアミノ酸ができることが分かりました。

実験のまとめ
以上のことから、有機物をつくるために必要な条件は、
『フラスコの中の混合ガスに酸素がない』
ということがわかりました。 酸素があると、どういうわけか有機物がつくられないのだそうです。

このことから、
ということが分かります。




Written by Harumi Fujishima