生存において、知性が本当に重要であると断言するのはとても難しいことである。 しかし、明らかにいえることは、地球外通信を試みようとする種なら、ある種の 道具作成能力を持つ必要がある。すると、彼らは知的に優れているということが できます。

次に挙げた6つの出来事は、人類にとって大切であったと思われる進化の段階です。

酸素を含む大気の形成

上陸

体温の恒常化

手と目の発達

道具の使用

社会構造の発達


酸素を含む大気の形成

10〜20億年前、地球大気が大転機をむかえ、このときまで存在していた 生命体のほとんどが滅んでしまいました。なぜなら、彼らにとって酸素は毒 だったのです。
酸素を含んだ新しい大気に順応できた生物は、酸素を含んだ化学反応を利用して、 多くのエネルギーを使うことができた種でした。 脳のような器官は多くのエネルギーを消費するので、酸素を含む反応だけがエネルギー を補給できます。酸素代謝に対する順応は、知性の道への第1歩なのです。


上陸

大気中に酸素ができると、オゾン層(酸素原子3つが集まってできる原子)がつくられ ます。オゾンは、太陽からの紫外線の大部分を吸収してしまうので、陸上生活 という生態学上の領分が利用できるようになります。
上陸という進化の過程が重要である理由は2つあります。

陸上の生活は環境が目まぐるしく変わるため、知性の発達には有利な条件であると 推測することができるでしょう。


体温の恒常化

脳のなかで起こる化学反応の速度は、温度と密接な関わりを持っています。 生命体が体温を一定に保つ能力を備えると、脳は24時間働き続けることができます。 そうなると、体温を上昇させるのに、日の出を待つ必要はなくなります。


手と目の発達

光のある世界に住むということは、膨大な量の視覚的情報を脳が一瞬のうちに処理 していることを意味しています。脳が単純であれば、この情報は大部分が無視 されます。 たとえば、カエルは、適当な大きさで動くものであれば何でも食べようとします。

いったん、手のような操縦器官が目とともにできあがると、脳と器官のいずれもが 発達するための原動力となります。目と手の連係がうまくいけば、たとえ大きな脳を 持っていても、木にぶら下がって、敵から身を守ることができるのです。


道具の使用

時がたてば、木にぶら下がる以外の目的で手を使った方がいいのは明らかです。 そうなると、巨大でも頭の足りない敵に十分に対抗できるほど、その脳は発達します。

今から400万年前、アフリカの原野を最初の直立猿人が歩きはじめてから、 次第に手が自由になり、道具を使用することができるようになりました。体型も 伸び伸びとした体型に変化し、生物学的な進化の圧力から開放されるようになります。 たとえば、食料はナイフで切られ調理するので、巨大なアゴを可能な限り進化させる 必要はなくなったのです。


社会構造の発達

社会構造を持つことが、高い知性があることを意味するわけではありませんが、 動物がより大きな頭脳を発達させるための引金にはなりえます。考える動物の群は 、整然と狩をし、敵から身を守ります。そうすると、その分だけ生存確率が高くなり ます。 群とは、言語が本質的価値を持つ場所である。社会構造を持つと、社会が未熟な 構成員の面倒をみることができるというメリットが生まれます。依存的な幼児期が 長いほど、脳の発達は促進されます。



Written by Harumi Fujishima